日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
遺伝統計学の活用による核酸ゲノム創薬
坂上 沙央里岡田 随象
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2020 年 109 巻 1 号 p. 107-112

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抄録

ヒトの全遺伝情報の解読が終了して約20年が経った現在,全世界で蓄積されているゲノムワイド関連解析の結果から,ゲノム上の変異と個々人の違いとの関連の全貌が判明しつつある.一方で,疾患や形質の成り立ちの基盤となるゲノム構造は,予想されていたよりも複雑であり,各々はごく小さな影響しか持たない変異が,全ゲノムに亘って大量に組み合わせ・足し合わせられることによって,ヒトとヒトとの個人差が規定されていることがわかった.ゲノム情報のみでは,疾患発症リスクの完全な予測や病態の理解が困難であることも判明した.本稿では,ゲノム研究をもう一歩臨床現場に近づけるために,多層に亘る生命情報の統合解析が行われている現状を紹介すると共に,我々の着目したマイクロRNA(ribonucleic acid)のヒト形質への関与に対する網羅的解析の結果と核酸創薬への展望を述べる.

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© 2020 一般社団法人 日本内科学会
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