2020 年 109 巻 2 号 p. 186-190
近年,社会の高齢化に伴い,心不全が世界中で増加し,心不全パンデミックと呼ぶべき事態が進行している.世界に先駆け,超高齢社会に突入した日本もその例外ではなく,高齢者を中心に心不全患者数が急激に増加しており,その管理の臨床的重要性は日増しに高まっている.また,高齢化に加え,生活習慣の西欧化が進む日本では,心不全の構造自体も質的にも大きく様変わりしつつあり,注意が必要である.本稿では,日本における心不全の疫学について,海外データと比較しつつ概説する.