2021 年 110 巻 10 号 p. 2278-2285
リンパ節腫大の鑑別疾患として,感染症,悪性腫瘍,自己免疫疾患を除外した後に,Castleman病等の特発性リンパ増殖性疾患が残る.これらは症例間の多様性が大きく,専門科目の境界領域にあるため,ベテラン医師でなければ診断は難しく,相当に時間がかかってしまうのが現実である.近年,IL(interleukin)-6阻害薬,抗CD20抗体等の分子標的薬が登場し,早期診断の重要性が増している.リンパ球はクローンを形成するのが特徴であるが,これらの疾患は,単なる良性・悪性の問題に留まらない複雑な病態を有する.本稿では,図を用いて論理的にこれらの疾患を整理し,最新の知見を盛り込んで解説する.