日本内科学会雑誌
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V.新型コロナウイルス感染症 最新の治療法と課題
忽那 賢志
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2021 年 110 巻 11 号 p. 2374-2382

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抄録

新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)の経過は,発症から1週間程度は風邪様症状や嗅覚・味覚異常等の症状が続く.この時期はウイルス増殖期と考えられるため,抗ウイルス薬によって増殖を抑えることが理にかなっていると考えられる.また,感染者の2割は肺炎が増悪し,炎症反応が過剰に起こることによって重症化する.この時期は過剰に起こった炎症を抑えるためにステロイド等の抗炎症作用を持つ薬剤を使用するのが合理的と考えられる.つまり,現時点ではCOVID-19の病期に合わせて「抗ウイルス薬」と「抗炎症薬」を組み合わせて行うという考え方になってきている.発症早期では抗ウイルス薬の効果が期待されるが,重症化してからは効果が期待されない.一方,抗炎症薬も発症早期では効果は期待できず,重症化してからの使用が推奨される.

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