日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
片頭痛の最新治療
柴田 護
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2021 年 110 巻 11 号 p. 2449-2457

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抄録

片頭痛は繰り返す頭痛発作を主徴とした神経疾患であり,その病態には中枢神経系,三叉神経系,自律神経系の機能異常が関与する.生活支障度の高い疾患であり,社会全体に大きな経済的損失を及ぼしている.片頭痛治療は,急性期治療と発作予防治療に大別される.急性期治療では,セロトニン5-HT1B/1D/1F受容体作動薬トリプタンが主に用いられているが,血管収縮作用が問題になることがある.発作予防治療では,カルシウム拮抗薬や抗てんかん薬等が経験的に用いられてきた.片頭痛病態でカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)が重要な働きをすることが明らかにされ,CGRP受容体拮抗薬やCGRPあるいはCGRP受容体に対するモノクローナル抗体が既に臨床応用されるに至っている.それらの治療薬は血管収縮作用がなく,従来の治療薬に比較して忍容性が高い.また,非侵襲的ニューロモデュレーションによる片頭痛治療も可能となっている.本稿では,片頭痛の最新治療について概説する.

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