日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
冠血行再建術の最新のエビデンス
中川 義久
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2021 年 110 巻 5 号 p. 1007-1012

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抄録

冠動脈疾患に対して血行再建を行うことは,病態に即した本質的な治療方法である.この手段には,冠動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting:CABG)と経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)の2つがある.急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)の患者においては,PCIによる血行再建の有効性は確立している.安定狭心症患者への血行再建としては,3枝病変や糖尿病合併患者等のハイリスク症例ではCABGの方が優れていると考えられる.薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent:DES)の導入により再狭窄が減少したことによりPCIの適応は拡大し,病変が左主幹部病変のみ,左主幹部病変+1枝病変であれば,PCIの成績はCABGに劣るものではないことも報告されている.International Study of Comparative Health Effectiveness with Medical and Invasive Approaches(ISCHEMIA)試験は,中等度から重度の虚血が証明された安定狭心症患者に対して,至適薬物治療の意義を示した.PCIまたはCABGの選択だけでなく,冠血行再建の前提として内科的治療の重要性を知る必要がある.

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