2022 年 111 巻 3 号 p. 605-610
49歳,男性.発熱,高カルシウム(Ca)血症のため入院.両側副腎腫大を認め,当初悪性腫瘍が疑われたが,胃,肝臓,皮膚,血液等複数臓器よりMycobacterium avium complex(MAC)を検出し,播種性MAC症と診断した.高Ca血症は肉芽腫性炎症に起因した病態と考えられた.幼少期より多数の感染症罹患歴があり,精査にて免疫不全の存在も明らかとなったが,関連する遺伝子異常は認めず,分類不能型免疫不全症(common variable immunodeficiency:CVID)と診断した.抗菌治療開始後,抗酸菌培養は陰性化,副腎病変も縮小を認めた.