日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
社会構造の変化と高齢者医療の理想像
飯島 勝矢
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2022 年 111 巻 5 号 p. 1007-1016

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抄録

2005年から2030年までに後期高齢者人口が倍増し,同時に認知症や独居高齢者も激増していきながら多死時代にも突入する.さらに医療の高度化と同時に疾病構造も大きく変化し,疾患や障害を持ち合わせながら長期に療養する患者が増える時代に入っていく.今こそ地域完結型医療への進化が求められ,そこには医療機能の機能分化,そして医療・介護分野の円滑な多職種連携を基盤とする地域システムが必要である.多分野専門職のチームケアを導入することは,多くの解決策が見つかりやすくなり,さらに問題の見逃しがなくなりやすく,患者・家族中心のケアを実現できる利点がある.多職種・多機関での連携が円滑に行われ,必要な情報が迅速かつ適切に共有されることは,医療安全,ケアの効果的な提供,そして最終的には患者や家族の満足度向上等,さまざまな点で非常に効果的である.さらに,個々の従事者のモチベーションアップにもつながり,ケアの質向上にも連動していく好循環を生み出す.

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