2022 年 111 巻 6 号 p. 1186-1192
急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)の分子病態の解明により,種々の新規分子標的薬が開発されている.FLT3阻害薬やIDH1/2阻害薬のように特定のドライバー遺伝子変異に対する標的薬(actionable mutation)と,BCL2阻害薬やSMO阻害薬のように遺伝子変異に依存せず,広くAMLに共有される機能分子に対する阻害薬(broad approach),さらに抗体医薬(CD47抗体,TIM3抗体)も開発されている.詳細なマルチオミクス解析の導入により,新たな治療標的分子の同定と新規薬剤の開発が進められ,従来の予後分類に基づいた画一的な治療からAML個別化医療の展開が期待される.