日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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111 巻, 6 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
内科学会NEWS
目次
特集 間質性肺疾患:実地臨床における診療のポイント
Editorial
トピックス
MCQ
シリーズ:地域医療を実践する内科医とは
今月の症例
  • 吉田 祐輝, 山田 玲子, 坪井 順哉, 中川 勇人
    2022 年 111 巻 6 号 p. 1149-1156
    発行日: 2022/06/10
    公開日: 2023/06/10
    ジャーナル フリー

    67歳,女性.肺腺癌術後の1年毎の胸腹部CT(computed tomography)で膵体部に新規に出現した膵腫瘤及び腫瘤の乳頭側に限局した膵萎縮部位を認めた.腫瘤に対して超音波内視鏡下穿刺吸引法(endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration:EUS-FNA)を施行すると膵神経内分泌腫瘍(neuroendocrine neoplasm:NEN)G1であった.腫瘍は小さいものの1年の経過で出現しており,増大リスクのため,腹腔鏡下膵体尾部切除を施行した.病理学的には膵NENと限局性膵萎縮部位には上皮内腫瘍性病変を認めた.

  • 清利 紘子, 小島 光晴, 笠井 里奈, 中野 穣, 山本 恵理子, 森田 理恵子, 柴田 真希, 鈴木 聡
    2022 年 111 巻 6 号 p. 1157-1164
    発行日: 2022/06/10
    公開日: 2023/06/10
    ジャーナル フリー

    76歳,男性.A診療所にて尿道損傷による肉眼的血尿を機に,アスピリンからエドキサバンへ内服変更された後,腎機能低下を認めた.当院にて腎生検を施行し,抗凝固薬関連腎症と診断した.抗凝固薬中止後,腎機能は2,3週間ほどで改善し,肉眼的血尿も消失した.直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOACs)やワルファリン等抗凝固薬内服歴がある患者で急性腎障害が認められた場合は,原因として抗凝固薬関連腎症を念頭に置く必要がある.

  • 川合 桃加, 加藤 雅彦, 柴田 英明, 櫻井 岳郎, 佐藤 克也, 西田 浩
    2022 年 111 巻 6 号 p. 1165-1169
    発行日: 2022/06/10
    公開日: 2023/06/10
    ジャーナル フリー

    症例は73歳の右利きの女性.arm levitationを主訴に来院した.脳MRI(magnetic resonance imaging)拡散強調像で右大脳皮質に高信号域を呈し,髄液中の総タウ及び14-3-3蛋白高値,RT-QUIC(real-time quaking-induced conversion)法での髄液中異常プリオン蛋白陽性よりCreutzfeldt-Jakob病(Creutzfeldt-Jakob disease:CJD)と診断した.本例は初期症状としてarm levitationを呈した.初期症状としてarm levitationを呈するCJDがあり,arm levitationの鑑別疾患にCJDを加える必要があると考えた.

  • 組橋 裕喜, 梶口 雅弘, 北原 太樹, 辻 太一, 新保 雄作, 藤井 亜弥, 浅野 喜澄, 原田 光徳, 杢野 晋司
    2022 年 111 巻 6 号 p. 1170-1178
    発行日: 2022/06/10
    公開日: 2023/06/10
    ジャーナル フリー

    55歳女性.頻回嘔吐,意識障害で来院した.結腸炎で入院後,肺水腫を来たし,心エコー検査でたこつぼ様壁運動が確認された.各種検査より褐色細胞腫と診断し,褐色細胞腫クリーゼからたこつぼ心筋症を来たし,急性心不全に至ったと推測された.褐色細胞腫は多彩な臨床症状を呈し,診断に苦慮することが多い.特に誘引がない若年急性心不全,著明な高血圧を認めた場合は,本疾患を疑う必要がある.

医学と医療の最前線
  • 小田原 幹, 菅原 真衣, 南學 正臣
    2022 年 111 巻 6 号 p. 1179-1185
    発行日: 2022/06/10
    公開日: 2023/06/10
    ジャーナル フリー

    慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者は新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)での死亡率や重症化率が高く,その重症度ステージによらず高リスクな集団である.特に,血液透析患者では集団での濃厚な医療曝露のため感染リスクが高く,感染予防・適切な隔離対応が必要となるが,入院病床数の問題から感染状況次第で診療所では感染確定患者の対応を要するケースも多く感染伝播が懸念される.腎臓病患者では免疫機能の低下からワクチン接種の有効性が低い可能性も示唆されているが,感染や重症化の予防のため重要と考えられる.COVID-19においては異常免疫やウイルスによる直接傷害等からの急性腎障害(acute kidney injury:AKI)が多いことも報告されており,重症化や死亡に関わる因子である.AKIの発症によらない長期的な腎機能の低下も報告されており,感染そのものが将来的な腎不全のリスクとなりうる.医療者はCKD患者におけるこれらのリスクを理解し,感染予防を含めた患者への適切な指導を行うことが重要である.

  • 宮本 敏浩, 菊繁 吉謙
    2022 年 111 巻 6 号 p. 1186-1192
    発行日: 2022/06/10
    公開日: 2023/06/10
    ジャーナル フリー

    急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)の分子病態の解明により,種々の新規分子標的薬が開発されている.FLT3阻害薬やIDH1/2阻害薬のように特定のドライバー遺伝子変異に対する標的薬(actionable mutation)と,BCL2阻害薬やSMO阻害薬のように遺伝子変異に依存せず,広くAMLに共有される機能分子に対する阻害薬(broad approach),さらに抗体医薬(CD47抗体,TIM3抗体)も開発されている.詳細なマルチオミクス解析の導入により,新たな治療標的分子の同定と新規薬剤の開発が進められ,従来の予後分類に基づいた画一的な治療からAML個別化医療の展開が期待される.

専門医部会
シリーズ:「一目瞭然!目で見る症例」
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