2023 年 112 巻 11 号 p. 2046-2052
市中感染症診療において重要なことは,病歴・身体所見などから感染症病名および原因となる微生物名を推定することである.感染症の中には迅速な対応が求められる場合もあり,その際には必要な検査を行って治療を優先する.一方,結核や感染性心内膜炎などで安易に先行抗菌薬を投与すると,培養の感度が低下する場合もあり,最初に培養することが重要である.血液検査や尿検査などから感染性疾患が疑われる場面もあるが,それぞれの微生物によって検出方法も異なるので,具体的な感染症病名を推定し,適切な検体を得てはじめて確定のために有用な検査を行うことができる.また,その検査結果についても正しい解釈が必要である.