2023 年 112 巻 3 号 p. 531-536
非がん性呼吸器疾患においては呼吸困難をはじめとする身体症状や抑うつ,不安といった精神症状の頻度が高く,適切な緩和ケアが必要である.しかし,非がん性呼吸器疾患患者に対する緩和ケアの提供は十分とはいえない現状がある.進行した病状の患者では,標準治療にも関わらず残存する呼吸困難に対してオピオイドが治療選択肢になるが,その有効性については一致した結論が得られていない.使用する際にはその投与方法・投与量について熟知しておく必要がある.精神症状に対しては,安易なベンゾジアゼピン系薬の使用は極力控え,呼吸リハビリテーションや心理療法といった非薬物療法を優先させる.意思決定支援に当たっては,非がん性呼吸器疾患の特徴を踏まえて,できるだけ早期に繰り返しアドバンス・ケア・プランニングを行うことが望ましい.