2006 年 95 巻 10 号 p. 2026-2029
腎性貧血は腎不全の重要な合併症で, 心合併症から予後を悪化させる. 腎性貧血の診断はは除外診断により, エリスロポエチン (EPO) により治療される. EPO製剤の問題点として, 製造工程でウシ血清が用いられていること, 半減期が短いこと, 経口投与できないことなどが挙げられる. 現在, これらの点を克服した新しい製剤が治験中である. EPO投与によりヘモグロビン濃度をどこまで上昇すべきかについて良質のエビデンスは得られていない. 各国でガイドラインが作られているが, 保険給付の制限などに束縛され, 今後の検討が不可欠である. EPOは今後癌性貧血, 脳虚血などに適応を広げると期待される.