日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
慢性膵炎の最近の知見
下瀬川 徹粂 潔正宗 淳
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2006 年 95 巻 10 号 p. 2105-2111

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抄録

慢性膵炎の遺伝的素因の一つとしてPSTI (pancreatic secretory trypsin inhibitor) の遺伝子異常とアルコール代謝酵素の遺伝子多型について, さらに膵星細胞の制御による膵線維化治療の可能性について述べた. PSTI遺伝子変異の頻度は非アルコール性慢性膵炎で高く, その素因として重要である. 一方, アルコール性慢性膵炎では, アルコールの代謝速度を規定する代謝酵素の多型が組織障害に関連する可能性が考えられた. 膵臓には星細胞と呼ばれる特殊な細胞が存在し, アルコールを含むさまざまな刺激下での炎症の持続や線維化に直接関与しており, その制御が慢性膵炎の新たな治療戦略になる可能性が考えられる.

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© 2006 一般社団法人 日本内科学会
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