日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
劇症1型糖尿病の診断と治療
今川 彰久花房 俊昭
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キーワード: diabetes, fulminant, idiopathic, emergent
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2006 年 95 巻 6 号 p. 1129-1134

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抄録
劇症1型糖尿病は著者らが2000年に報告した糖尿病の新しいサブタイプであり, 「非常に急速でほぼ完全な膵β細胞破壊の結果生じる糖尿病」がその本態である. 日本人糖尿病の約0.2%をしめると推計されるが, 従来1型糖尿病のマーカーとされてきた自己抗体は陰性である. 膵β細胞の破壊機構としては, ウイルス感染とそれに伴う免疫反応の両者が関与していると考えられる. 本疾患のスクリーニング基準として, 1) 糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る, 2) 初診時の (随時) 血糖値が288mg/dl以上であるという2項目が提示されている. 劇症1型糖尿病は診断が1日でも遅れると患者の生命予後に関わる救急疾患であり, すべての医師はその存在を銘記し, スクリーニング基準を活用して的確な診断を下すよう努めなければならない.
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© 2006 一般社団法人 日本内科学会
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