日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
造血器腫瘍に対する分子標的療法
松村 到金倉 譲
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2006 年 95 巻 7 号 p. 1375-1381

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抄録

造血器腫瘍の分野においては分子標的療法という言葉がもてはやされる以前からATRAによるAPLの治療が行われてきた. また, 他の分野に先駆けてCMLにimatinib, B細胞悪性リンパ腫にrituximabが臨床応用されてきた. 両薬剤は, 共に際立った有効性を示し, 現在ではそれぞれの疾患の治療に欠くことのできないキードラッグである. 昨年, この2剤に引き続き, 亜砒酸, Am80, 抗CD33抗体が保険認可された. 既に悪性リンパ腫に対する90Y-ibritumomabの臨床試験は終了しており, imatinib耐性CMLに対する新規BCR-ABL阻害剤AMN107, BMS354825の臨床治験も始まっている. 更に, プロテアソーム阻害剤bortezomibも近く認可される予定である. 今後, 更に分子標的療法が進歩し, 造血器腫瘍の治療成績が更に改善されることを期待したい.

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© 2006 一般社団法人 日本内科学会
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