日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
気管支喘息における好酸球性炎症 : その再評価
藤澤 隆夫
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2006 年 95 巻 8 号 p. 1564-1571

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抄録
好酸球はアレルギー性炎症における中心的なエフェクターである. 今日の「喘息=気道炎症」という疾患概念の確立と抗炎症療法奏功の基礎は好酸球研究の成果が築いたといっても過言ではない. 好酸球を標的とする抗IL-5抗体投与試験の失敗で一時期その位置づけが大きく低下したこともあったが, その後, 再評価の研究が進んで, 新たな役割が明らかになっている. すなわち, 好酸球は強力な炎症惹起作用に加え, TGF-βなどの線維化サイトカインによる気道リモデリング形成に関わる. また, 抗ウイルス作用を有し, 自己反応性胸腺細胞アポトーシス, 抗原提示, 樹状細胞活性化, 炎症抑制など免疫反応全般に関わる機能も有する. それぞれの疾患のステージによって役割は変化すると思われるが, 重要な治療ターゲットのひとつであることに変わりはなく, 今後のさらなる研究の進展が期待される.
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© 2006 一般社団法人 日本内科学会
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