日本内科学会雑誌
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95 巻 , 8 号
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内科学会ニュース
会告
特集●気管支喘息 : 診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I. 喘息の疫学 (喘息死を含む)
II. 病態生理
  • 星野 誠
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1425-1430
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の基本病態は慢性の気道炎症である. 気道炎症には好酸球, T細胞, 肥満細胞, 気道上皮細胞が重要でTh2サイトカインが関与しており, 最近では, 炎症部位も中枢のみならず末梢気道の関与が重要視されている. さらに気道炎症に引き続き, 上皮杯細胞化・基底膜肥厚・平滑筋肥大・血管新生・粘膜浮腫といった気道リモデリングの病態が明らかになり, 非可逆的気道閉塞や気道過敏性亢進の要因として注目されている.
  • 井上 博雅
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1431-1436
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    気道過敏性とは, 種々の非特異的刺激に対して気道が過剰に狭窄反応を呈することであり, 気管支喘息の最も特徴的な病態生理学的異常である. 気道過敏性検査は, 喘息の診断, 重症度や治療効果の判断, 喘息の発症機序の研究, 疫学研究などに有用である. 気道過敏性が発症する機序として, IL-4, IL-5, IL-13などのTh2サイトカインによる気道炎症が重要な役割を担っていると考えられている.
III. 診断へのアプローチ
  • 谷本 安
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1437-1442
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の診断には, 喘鳴, 呼吸困難などの気流制限に由来する症状が発作性反復性に生じること, 気流制限に可逆性があること, 慢性閉塞性肺疾患をはじめとする他の疾患が除外されることが重要である. 特に気流制限の可逆性は, スパイロメトリーやピークフローの測定を行って自然経過や薬物に対する反応性を客観的に評価する必要がある. さらに, 気道過敏性の亢進や喀痰中の好酸球増加は他の所見とともに喘息の診断を支持する.
IV. 治療のupdate
  • 土肥 眞
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1443-1449
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    抗炎症療法が普及した結果, 急性増悪 (発作) を来す気管支喘息症例は減少しているが, 喘息死の症例も未だに年間4,000例近く経験される. 急性発作時の対応は, 的確な診断, 状態の評価と適切な投薬による. 治療は, アドレナリン製剤の皮下注射, β刺激薬の吸入, テオフィリン薬やステロイド薬の点滴静注などの組み合わせによる. 服薬コンプライアンスの維持や誘因の除去回避など, 発作を起こさせない日常の管理も重要である.
  • 下田 照文
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1450-1457
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の段階的薬物療法に関して, わが国の喘息の管理と治療のガイドラインであるJGL2003と国際的なガイドラインであるGINA updated 2005を比較した. ステップ1では, 吸入ステロイド薬あるいはロイコトリエン受容体拮抗薬によるearly interventionが望ましい. ステップ2以上の持続型喘息では, いずれの重症度でも吸入ステロイド薬が第一選択薬である. 併用薬では, 長時間作用性吸入β2刺激薬が気管支拡張作用はもっとも強い. ロイコトリエン受容体拮抗薬は気管支収縮抑制作用と抗炎症作用の両方を併せ持っており有用性が高い. ロイコトリエン受容体拮抗薬以外の抗アレルギー薬の有用性は低い.
  • 濱田 泰伸, 横山 彰仁
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1458-1463
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    吸入ステロイド薬は局所抗炎症効果に優れ, 全身的副作用が少ない薬剤であり, 現時点における最も効果的な喘息治療薬である. 吸入ステロイド薬は喘息患者の気道炎症を改善し, その結果, 自覚症状や呼吸機能を改善し, 喘息死を予防する. 近年, 喘息の病態や症状に末梢気道炎症の関与が注目されている. 微粒子型吸入ステロイド薬は従来の吸入ステロイド薬に比べて末梢気道炎症をより改善させる可能性を有している.
  • 馬場 研二
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1464-1469
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    長時間作用性β2刺激薬とは, 気管支拡張作用を持つβ2刺激薬の中で気管支拡張効果が長時間に亘って持続するものを言う. 喘息の長期管理薬 (コントローラー) として使われ, 発作予防と良好な肺機能の維持に高い有効性を持つ. 臨床効果や副作用の観点から, 吸入薬あるいは貼付薬が選択される. 吸入ステロイド薬だけでは充分な効果が得られない場合, 本薬剤を併用することでさらに良好な管理が可能になる.
  • 浅野 浩一郎
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1470-1474
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    ロイコトリエン受容体拮抗薬は強力な気管支収縮物質であるシステイニルロイコトリエンの作用を阻害する薬剤であるが, 気管支拡張効果以外にも抗炎症作用などさまざまな抗喘息効果をもつ薬剤である. 臨床的には軽症喘息における吸入ステロイド薬の代替薬, 中等症以上の喘息における吸入ステロイド薬の併用薬として用いられ, その効果と安全性は確立している. 他剤と比較して高価であること, 効果に若干ばらつきがあることなどから, いずれの場合も現時点ではガイドラインにおける第1選択薬とはなっていないが, ロイコトリエン受容体拮抗薬の有効性の高い患者が明らかになりつつあり, 今後も喘息治療における重要な治療選択肢である.
  • 相良 博典
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1475-1480
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    気管支喘息は気道の慢性炎症性疾患であることが明らかになり, 気道炎症を抑制する抗炎症薬が喘息治療薬の中で重要性を増してきた. 元来テオフィリンは気管支拡張薬として扱われて来たが, 近年抗炎症作用があることが明らかになった. このような背景で, 徐放性テオフィリン薬は長期管理薬のなかで抗炎症薬と長時間作用気管支拡張薬の2つの側面を持つことが注目されている.
V. 関連疾患
  • 白井 敏博
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1481-1486
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    アスピリン過敏症は気道型のアスピリン喘息と皮膚型からなり, システイニルロイコトリエンが病態に深く関与する. すべての酸性非ステロイド性抗炎症薬の服用早期に鼻症状を伴う激烈な喘息発作が出現する. 患者の半数は誘発歴がないため負荷試験が必要となる. 発熱には氷冷, 鎮痛には麻薬やオピオイドを使用し, 発作にはリン酸エステルステロイド薬を点滴で投与する. 合併症では好酸球性鼻茸副鼻腔炎や好酸球性胃腸炎が重要である.
  • 新実 彰男
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1487-1492
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    咳喘息は咳のみを症状とする喘息の亜型で, 慢性咳嗽の主要な原因疾患である. 喘鳴を伴う典型的喘息と同様に気道の好酸球性炎症やリモデリングを伴う. 第一選択薬の吸入ステロイド療法により成人例の約30%にみられる典型的喘息への移行は減少する可能性がある. 近年提唱された類縁疾患であるアトピー咳嗽と非喘息性好酸球性気管支炎は, 同様に好酸球性気道炎症を特徴とするが, 気道過敏性がなく典型的喘息への移行が少ない点などが咳喘息と異なる.
  • 釣木澤 尚実
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1493-1500
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Churg-Strauss症候群 (CSS) は気管支喘息またはアレルギー疾患を背景に出現する, 好酸球増加を伴う原因不明の全身性の壊死性血管炎である. CSSの5年生存率は62~78%と決して良好ではなく, 急性期には血管炎症状は数日単位で急激に悪化することも多く, 治療する時期を逸すると重篤な後遺障害を残すことがあるので早期診断, 早期治療が重要である. 主な治療法はステロイドであり治療抵抗性の場合は免疫抑制薬を併用するが, 末梢神経障害, 心病変は後遺障害を残すことも多い. 新規治療法として開発中であるIVIG (intravenous immunoglobulin) 療法は残存する末梢神経障害, 心病変に対し劇的な効果を示し, 血管炎症状だけでなく長期予後を改善させる可能性があり, 今後の臨床応用が期待される.
VI. 最近の話題
  • 檜澤 伸之, 川口 未央
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1501-1506
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    喘息の発症は複数の遺伝子多型が, それぞれが与えられた環境下で生じるわずかな機能的な変化の総和として決定される. 分子遺伝学の進歩によって, 喘息病態に対する理解がすすんだ. 特に喘息病態を構成するいくつかの分子生化学的な経路の存在とその重要性が明らかになってきた. 共通経路の解明は喘息病態の理解を深めると同時に, これらの経路をターゲットにしたより特異的な喘息予防や治療の進歩に貢献することが期待される.
  • 有岡 宏子
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1507-1513
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    喘息の病態の解明が進み, 各国で診断と治療に関するガイドラインが作成された. 診断や治療効果の判定には従来の症状や呼吸機能, PFR値に加えて患者主体の評価方法が必要と認識されつつある. 日本では海外で開発された調査票の日本語版を使用していたが, 習慣や文化の違いにより独自のものを作成する必要性からAHQ-JAPANが開発された. その開発の経緯と326名を対象に行ったvalidation studyの結果を報告する.
  • 茆原 順一, 植木 重治
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1514-1519
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    男性と女性を画一的に扱い診断・治療を行ってきた反省から, Gender-Specific Medicine (性差を考慮した医療) が近年話題になっている. このような背景から, 社会的な性差 (gender) に加え, 生物学な性差 (sex) を学問として研究し体系づけようとする性差医学が注目されている. 気管支喘息においても, 疫学や遺伝子, ホルモン, 細胞学的に様々な性差が認められているが, 性差医学という観点から病態を見直すことで医療のテーラーメード化へ貢献できると思われる.
座談会
認定内科医トレーニング問題
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 柳瀬 敏彦
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1557-1563
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    副腎皮質クローン化細胞からの副腎組織の再生の報告やES細胞でのSF-1の恒常的発現によるprogesterone産生の報告を認める. 骨髄細胞のステロイド産生細胞への分化能については未知数であったが, 我々は長期培養骨髄細胞へのアデノウイルスによるSF-1の強制発現により, 副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) に反応しde novo に多様なステロイドホルモンを分泌するステロイド産生細胞の創出に成功した. この発見は, ステロイドホルモン欠損症に対する自家細胞移植療法の第一歩となる可能性がある
  • 藤澤 隆夫
    2006 年 95 巻 8 号 p. 1564-1571
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    好酸球はアレルギー性炎症における中心的なエフェクターである. 今日の「喘息=気道炎症」という疾患概念の確立と抗炎症療法奏功の基礎は好酸球研究の成果が築いたといっても過言ではない. 好酸球を標的とする抗IL-5抗体投与試験の失敗で一時期その位置づけが大きく低下したこともあったが, その後, 再評価の研究が進んで, 新たな役割が明らかになっている. すなわち, 好酸球は強力な炎症惹起作用に加え, TGF-βなどの線維化サイトカインによる気道リモデリング形成に関わる. また, 抗ウイルス作用を有し, 自己反応性胸腺細胞アポトーシス, 抗原提示, 樹状細胞活性化, 炎症抑制など免疫反応全般に関わる機能も有する. それぞれの疾患のステージによって役割は変化すると思われるが, 重要な治療ターゲットのひとつであることに変わりはなく, 今後のさらなる研究の進展が期待される.
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