2007 年 96 巻 2 号 p. 295-304
様々な疫学的検討,基礎検討から,非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)がある種の癌に対し,抗腫瘍効果を有し,その発生リスクを減少させることが明らかにされている.cyclooxygenase(COX)はNSAIDsの標的分子で,そのうちの誘導型と考えられているCOX-2は,大腸癌組織で高発現している.COX活性はプロスタグランディンE2合成を介し,細胞増殖・アポトーシス・血管新生・転移浸潤に関わっている.本稿ではNSAIDs,特にCOX-2特異的阻害剤を用いた大腸癌の予防・治療について述べる.