2007 年 96 巻 4 号 p. 702-706
PTH分泌は血清カルシウム値により厳密に調節されているが,血清カルシウム値を感知する分子がカルシウム感知受容体(CaSR)である.CaSRはG蛋白質共役型膜蛋白質である.CaSRの活性型変異では,血清カルシウム値は実際より高いと判定され,PTH分泌は抑制され,低カルシウム血症となる.この遺伝性疾患を,家族性低カルシウム血症もしくは常染色体性優性低カルシウム血症と呼び,副甲状腺機能低下症に類似の病態となるが,比較的尿中カルシウム排泄量が多いことで区別される.