日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
わが国のBarrett食道,腺癌の現状
岩切 龍一藤本 一眞
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2008 年 97 巻 1 号 p. 176-182

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抄録
近年,欧米では胃食道逆流症(GERD)とともにGERDを背景とするBarrett食道,Barrett腺癌の増加が著しい.米国では20年前に白人男性の1~2%にすぎなかったBarrett腺癌の頻度が現在では全食道癌の過半数を占めるようになっておりBarrett食道,腺癌の対策が急務となっている.わが国でも以前は稀であったGERDが近年急激に増加し欧米に近い頻度となっていることが確認されている.同時にBarrett粘膜全体の頻度も増している.しかし,全周性,長さ3cm以上の典型的Barrett食道やBarrett腺癌の頻度は依然低い.今後欧米と同様に典型的Barrett食道や腺癌が増加していくのか,もしくは人種等根本的原因による違いが存在するのか現時点では不明である.今後,増加していく可能性を念頭にして上部消化管検査の際には胃食道接合部に一層注意をはらっていく必要があると思われる.
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© 2008 一般社団法人 日本内科学会
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