2008 年 97 巻 2 号 p. 401-403
Mitochondrial myopathy, Encephalopathy, Lactic Acidosis and Stroke-like episode(MELAS)は繰り返す脳卒中様エピソードを特徴とするミトコンドリア異常症の病型の一つで,多くが30歳までに発症するが50歳以降での初発例は稀である1).我々は56歳時に意識障害と左片麻痺,痙攣という脳卒中様エピソードで初発した男性例を経験した.発症翌年には失語,不穏,痙攣を生じ,頭部MRIで異常信号,血中乳酸値上昇,ミトコンドリア遺伝子3243変異を認めた.50歳代で脳卒中様エピソードを呈した場合,MELASは鑑別すべき疾患の一つと考えられた.