日本内科学会雑誌
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97 巻 , 2 号
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特集●末梢動脈疾患(PAD):診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.疫学と病態
  • 小山 英則
    2008 年 97 巻 2 号 p. 271-276
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    末梢動脈疾患(PAD)は年齢と共に有病率が増加し,その約75%が無症候性である.PADは生活習慣病と極めて関連が深く,主要な危険因子として年齢(40歳以上),喫煙,糖尿病が最も重要視されている.PADは下肢の問題にとどまらず,その存在は全身の動脈硬化の進展が示唆され,冠動脈疾患,脳血管疾患がそれぞれ約50%,30%に合併する.PAD患者の予後はきわめて悪く,重症下肢虚血の患者を除いても5年死亡率が15~30%にも達する.
  • 中島 豊
    2008 年 97 巻 2 号 p. 277-283
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    ヒトの冠状動脈や腸骨動脈には若年者からびまん性内膜肥厚が存在する.早期アテローム硬化の発生においては,このびまん性内膜肥厚の深部に脂肪の沈着が生じ,その後マクロファージが浸潤して泡沫細胞巣が形成される.その後,進行病変であるatheromaやfibroatheromaが形成されるが,この過程は思うほど単純ではない.アテローム硬化の退縮には泡沫細胞や壊死の減少消失は大きく関与するが,膠原線維を多量に含む線維性プラークや石灰化病変の退縮はあまり期待ができない.
  • 松本 あき子, 宮田 哲郎, 重松 宏
    2008 年 97 巻 2 号 p. 284-292
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    種々のツールで測定される末梢動脈疾患(PAD)患者のQOL(quality of life)が国民基準値よりも低いことは,痛みがあること,歩行機能が障害されること,慢性経過をとること,長期療養が必要なことなどから説明,解釈される.患者立脚型質問票による評価は,「痛み·機能低下·潰瘍」を疾病の本態とするPADにおいては,重症度や効果の指標として意義がある.閉塞性動脈硬化症患者のための自覚的健康状態質問票では,検出される跛行の程度が重症であるほど,ABI,NIRS-RT(近赤外線分光法における回復時間)やSF-8での測定結果が良好でないという基準関連妥当性が示された.QOLや疾患特異的質問票の予後予測因子としての有用性が検討されれば,意思決定資料の一部として活用される可能性があり,成果研究だけでなく,患者の生活記録や日常診療の一部として質問票を活用する利点がある.
II.診断と検査
III.治療と管理の実際
  • 林 富貴雄
    2008 年 97 巻 2 号 p. 332-338
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    PADは動脈硬化性血管病変による下肢血流障害であると同時に全身の動脈硬化の一部分症でもある.内科的治療目標は,下肢虚血症状の改善と合併する虚血性心疾患や脳血管疾患等の心血管疾患のイベント予防にある.薬物療法,特に抗血小板療法は心血管疾患の二次予防にエビデンスを有し,PAD治療の中核的存在である.一方,監視下運動療法は,跛行改善に有効とする多数のエビデンスを有し,最近のガイドラインでは間歇性跛行に対する第一選択の治療法と位置づけられている.
  • 横井 良明
    2008 年 97 巻 2 号 p. 339-345
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    PADに対する血管内治療は低侵襲であり,歩行距離の延長,QOLの向上からもバイパス手術に変わる血行再建法となってきている.特に腸骨動脈,大腿動脈の短区間病変での血管内治療の有用性が確立されている.また重症虚血肢に対する大腿膝窩動脈,膝窩動脈以下にも血管内治療の有用性が明らかになってきている.バイパス術に比べ高齢者,心血管病合併患者など高危険群にも適応できる.拡張に成功すれば,下肢虚血はただちに改善され,現在最も注目されている分野である.
  • 太田 敬
    2008 年 97 巻 2 号 p. 346-350
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    末梢動脈閉塞症(PAD:peripheral arterial occlusive disease)は発症時期の差から急性動脈閉塞症と慢性動脈閉塞症に分類できる.2週間以内に突然発症した動脈灌流障害を急性動脈閉塞症というが,発症からの時間,虚血の範囲や重症度を的確に判断し,時期を逸することなく‘肢切断の回避’および‘救命’に努めるべきである.慢性動脈閉塞症の治療にあたっては,画像診断だけでなく客観的な虚血の重症度評価を行い,‘肢機能の回復’および‘肢切断の回避'に努めるべきである.そのために,いくつかの治療オプションの一つとして外科治療を考えるのがよい.
  • 土田 博光
    2008 年 97 巻 2 号 p. 351-357
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    末梢動脈疾患(PAD)治療のゴールは,血管の開存ではなく,生命予後とQOLの改善である.PAD最大の死因は冠動脈疾患で,QOL低下の原因は合併動脈硬化疾患による身体機能低下と下肢喪失である.よって心臓血管疾患予防のためのガイドラインに示されたゴールの実現のため,特に本邦で立ち遅れている運動療法指導,フットケアなどに力を入れ,患者の生活習慣改善のために,各科医師,全医療職が協力して,援助,介入することが必要となる.
IV.最近の話題
  • 大平 篤志
    2008 年 97 巻 2 号 p. 358-363
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    重症虚血肢(critical limb ischemia:CLI)では,その対応の遅れから救肢はもちろん,救命すら困難となることが少なくない.CLI患者の診療では,下肢病変の病態について迅速かつ的確に把握しつつ,常に合併疾患を念頭に置いた,救肢とQOLの向上および生命予後の改善を目指した治療法を選択することが重要である.本稿では,CLI患者を管理する際の要点について概説する.
  • 中川 裕介, 足立 淳郎, 的場 聖明, 池田 宏二, 松原 弘明
    2008 年 97 巻 2 号 p. 364-369
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    人口の高齢化や食生活の欧米化に伴って,我が国でも閉塞性末梢疾患の患者は年々増加傾向にある.これらの患者に対する治療としては危険因子の除去,運動療法,抗血小板薬や血管拡張薬などによる薬物療法,さらには経皮的血管形成術や外科的バイパス治療が行われているが,既存の治療に抵抗性を示す重症虚血肢の症例も少なくなく本邦では毎年5千人近い患者が下肢切断を余儀なくされている.骨髄には血管内皮細胞,心筋細胞,平滑筋細胞などの心血管系構成細胞の幹細胞が含まれる.この幹細胞分画を含む骨髄単核球を用いた血管再生療法が循環器医療に応用されつつある.本邦では世界に先駆けて,閉塞性動脈硬化症やBuerger病など重症虚血下肢に対する骨髄単核球細胞移植を用いた血管再生の有効性が発表され,2003年6月25日にこの治療は再生医療では初めて高度先進医療に認可された.現在では24大学病院,国立病院等で200人以上に実施されるとともに,14施設が高度先進医療に認可承認された.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 渡辺 彰
    2008 年 97 巻 2 号 p. 423-429
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    Q熱は,リケッチアやレジオネラに近縁のコクシエラ属のCoxiella burnetiiにより主に肺炎や気管支炎の形で発症する感染症の総称であり,インフルエンザ様の一過性熱性疾患であると共に人獣共通感染症でもある.家畜やペットから感染して発症するが,ヒト-ヒト感染は稀である.欧米では市中肺炎の第4~5位を占めることが判明しており,多くは予後良好で,無治療でも死亡率は1~2%にとどまる.一方で遷延する例や予後不良な慢性型もあり,確定診断例や疑いの強い例は積極的に治療する.確定診断は血清抗体価の有意上昇によるが,抗体価の上昇までに長期間を要する例が多いので経過を追う必要がある.偏性細胞内寄生性の本菌に細胞内移行の不良なβ-ラクタム薬は基本的に無効であり,テトラサイクリン薬やマクロライド薬,キノロン薬が奏効するが,自然治癒例も多いためβ-ラクタム薬の投与で見かけ上は改善する例が多い.ワクチンはわが国では普及していない.
  • 佐藤 徹
    2008 年 97 巻 2 号 p. 430-437
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    肺高血圧症は2003年のヴェニス分類で5つに分類されたが,この項では肺動脈性肺高血圧症と慢性肺血栓塞栓症の治療について解説する.1999年以降,新しい血管拡張剤(プロスタサイクリン,トラクリア,シルデナフィル)の導入により,特発性肺動脈性肺高血圧症の予後は著明に改善しており,これらの薬剤について概説した.慢性肺血栓塞栓症は血栓内膜摘除術が奏功すれば著明な改善が得られるが,代表例を呈示した.
  • 井田 弘明
    2008 年 97 巻 2 号 p. 438-447
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    自己炎症疾患(autoinflammatory disease)は,自己炎症症候群(autoinflammatory syndrome)とも呼ばれる新しい疾患概念である.繰り返す全身性の炎症を来す疾患で,多くは発熱がみられ,関節·皮膚·腸·眼などの部位の炎症を伴う.症状としては,感染症や膠原病に類似しているが,病原微生物は同定されず,また,自己抗体や抗原特異的T細胞も検出されない.近年,Toll-like受容体や細胞内のNLRファミリー蛋白の分子機構の解明が進み,また,これらの分子が,一部の遺伝性周期熱症候群の疾患遺伝子でもあったことから,自己炎症疾患の概念が提唱され,現在注目されている.欧米の疾患と思われていた遺伝性周期熱症候群は,本邦でも存在が確認され,不明熱の鑑別疾患に挙げる必要性がでてきている.本稿では,自己炎症疾患の概念,分類を紹介するとともに,各疾患の臨床像と病因を簡単に解説した.
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シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 問題
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