2008 年 97 巻 8 号 p. 1823-1829
腫瘍の遠隔効果で発症する傍腫瘍性神経症候群は,腫瘍と神経系を同時に標的とする「何らかの免疫因子」が病態に関与している可能性が示唆されている.腫瘍の診断から先行して神経症状が出現することが多いため,腫瘍の存在を示唆する重要な警告サインである.迅速,的確に診断を確定し,腫瘍の根治的治療をすることが,神経症状の改善につながる.本稿では,最近,欧州で提唱されている診断ガイドラインを中心に,傍腫瘍性神経症候群の系統的な診断アプローチについて概説する.