抄録
職業性喘息の診断は疑って問診することから始まる.欧米では成人発症喘息の5~15%と言われているが本邦でのまとまった報告はない.職場での原因物質が高分子量の蛋白である場合はIgE依存性反応であるが,低分子量である化学物質である場合では必ずしもIgE依存性ではない.またこれらの感作期間のあるものとは別に,reactive airway dysfunction syndromeやirritant-induced asthmaがある.本稿ではきのこ栽培工場就労者にみられた検討をモデルとして,主に診断の複雑さについて述べる.