日本内科学会雑誌
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98 巻 , 12 号
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特集●気管支喘息:診断と治療の進歩
Editorial
I.疫学
II.病因と病態
  • 浅野 浩一郎
    2009 年 98 巻 12 号 p. 2999-3005
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    喘息は遺伝素因と環境因子との組み合わせにより発症する多因子疾患であり,今までなかなか喘息遺伝子の本体に迫ることはできなかった.最近,全ゲノム網羅的解析からADAM33,PHF11,DPP10,GPRA,HLA-G,CYFIP2,ORMDL3が同定され,さらにアトピー性皮膚炎合併喘息の原因遺伝子としてのフィラグリンも注目されている.これらの遺伝子の多くはアトピーや気道炎症とは無関係の蛋白分解酵素や転写因子,受容体などをコードしており,喘息の病態解明と治療の新しい手がかりとなることが期待される.
  • 井上 博雅
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3006-3012
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の基本病態は,好酸球・リンパ球・肥満細胞を中心とした慢性の気道炎症と気道過敏性亢進である.気道炎症に引き続き,気道上皮の杯細胞化生,基底膜肥厚,平滑筋の肥大や過形成,血管新生,粘膜下腺の増生などの気道リモデリングが生じ,非可逆性の気道狭窄をもたらす.IL-13などのT細胞由来のサイトカインや好酸球由来のTGF-βなどが,喘息にみられる気道炎症やリモデリングの成立に重要な役割を担っている.
  • 長瀬 隆英
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3013-3018
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    気管支喘息における気道炎症機序は,炎症細胞と気道構成細胞が放出するメディエーター・サイトカインなどの生理活性物質による炎症カスケードであると考えられている.しかしなお未解明の部分が多く,その解明には関連遺伝子の探索を含めた研究が必須と考えられる.今後,さらに各々の遺伝子・蛋白系の生理的意義・重要性が解明されることにより,気管支喘息に対する有効な治療法・管理法の開発および実用化が期待される.
III.診断と鑑別診断
  • 相澤 久道, 冨岡 竜介, 名取 宏記
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3019-3025
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    喘息の診断で陥りやすいピットフォールは高齢者に多い.最も頻度が高く,しかも鑑別が難しいものは,chronic obstructive pulmonary disease(COPD)と心不全である.これらを含めた喘息と誤診しやすい疾患の鑑別診断のためには,詳細な問診・身体所見の他に,呼吸機能検査,画像検査,その他の生理検査や検体検査などを行うが,注意して評価しなければならない.喘息はありふれた疾患だけに,鑑別すべき疾患が多い.ここでは陥りやすいピットフォールトそれに対する対策について述べた.
  • 一ノ瀬 正和
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3026-3032
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の診断及び管理において,スパイロメトリーによる閉塞性障害の評価や気道過敏性検査がこれまで行われてきた.一方,喘息の本態である「気道炎症」に関しても,喀痰,呼気ガス,呼気凝縮液といった検体を用いた方法が臨床応用されつつある.これら所謂「バイオマーカー」の中でも呼気一酸化窒素濃度測定は非侵襲的で発作期にも行えることから,今後のさらなる展開が期待される.
  • 金澤 實, 中込 一之
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3033-3040
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    喘息とCOPDはともに気道の炎症性疾患で気流制限を特徴とする.喘息はアレルゲンの吸入などによるアレルギー性炎症で,吸入ステロイド薬や気管支拡張薬が奏功する.COPDは喫煙を主因とし,好中球が主役の炎症で,ゆっくりと進行し,治療薬の効果は限られる.喫煙者における喘息,重症喘息,両疾患の増悪時にはともに類似した病態を呈し,治療も共通する.またいずれの疾患も医療チームによる多面的な教育指導が有効である.
IV.管理と治療の進歩
  • 灰田 美知子
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3041-3051
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    喘息は薬物療法の進歩に伴い,患者教育や生活指導の重要性は減ったかの様に思われるが実際は患者教育の結果,正しく実施される生活管理が最終的な症状の安定に重要である.喘息では症状が消失すると患者自身も安心し,継続して行うべき治療を中断して次の悪化の要因を作ってしまう事が多い.従って患者教育も使用する薬剤の熟知と喘息の悪化要因の回避を含めた生活指導が大事であり,この点に留意して指導を行う必要がある.
  • 石原 享介
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3052-3060
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    喘息治療では発作時の適切な対応と,合理的な維持療法とによって「通常の健康人と変わらない日常生活」という目標の達成が可能となる.維持療法の基本は吸入ステロイド中心治療であり,本質的な重症度や,その時々のコントロールの程度を適切に判断し,治療に濃淡をつける必要がある.SABAの使用頻度が増えれば,治療のステップアップを試み,SABAを使う必要のない状況を目指すのが現実的対応である.
  • 東田 有智
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3061-3066
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    喘息の病態は気道炎症であり,その治療の第一選択薬は吸入ステロイド薬である.吸入ステロイド薬を診断後早期に導入することで,自然歴・予後を改善することが期待されている.小児喘息発症の前段階に早期治療介入しても発症予防はできず,自然歴は変えられない.しかしながら,小児・成人喘息とも,早期治療介入は,入院・救急外来受診を抑制し,1秒量の継時的低下を抑制することより,喘息の予後の改善に関しては期待される.
  • 下田 照文
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3067-3075
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    喘息発作の重症度を的確に判断して治療を開始する.最初に短時間作用性β2-刺激薬を反復吸入させる.発作の初期に全身性ステロイド薬の投与は症状の速やかな回復を促進するのに役立つ.アミノフィリンの点滴静注の併用は追加効果を期待できず副作用の危険性が増加するので推奨できない.患者が低酸素であれば酸素を投与する.治療効果のモニターとして,主観的な症状だけではなく,客観的な指標である呼吸機能(ピークフローや一秒量),酸素飽和度,動脈血ガスの測定を考慮する.
  • 玉置 淳
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3076-3082
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    喘息の長期管理は,吸入ステロイドを中心とする抗炎症療法の普及により飛躍的に改善しつつある.今後は,従来の治療薬が効きにくい重症難治性喘息をコントロールすることが大きな課題である.そのための治療法として,IgEやIL-5,あるいはTNFαを標的とした生物学的製剤,吸入ステロイドと長時間作用性β2刺激薬の新しい吸入用合剤,気管支熱形成術といった気管支鏡インターベンションなどが開発されつつある.
V.喘息の亜型・特殊型
  • 石田 直
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3083-3088
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    咳喘息は慢性咳嗽の原因として最も頻度の高い疾患であり,喘鳴や呼吸困難を伴わず慢性の咳嗽を唯一の症状とする.典型的喘息と同様に気道過敏性亢進,気道の好酸球性炎症,リモデリングなどの病態を呈し,気管支拡張薬が有効である.経過中に約3割の症例が典型的喘息に移行する.アトピー咳嗽や感染後咳嗽も慢性や遷延性の咳嗽を呈する頻度の高い原因であり,時に咳喘息との鑑別が問題となる.
  • 榊原 博樹
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3089-3095
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    アスピリン喘息は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の共通した薬理作用であるアラキドン酸シクロオキシゲナーゼ阻害作用(→プロスタグランディンE2の減少)がトリガーになり,主としてシスティニル・ロイコトリエンの増加が過敏反応を惹起する.アスピリン喘息は他の薬物過敏症と比べて著しく有病率が高く,鼻・副鼻腔疾患の合併が多いなどの特徴的な臨床像をもち,喘息の一つのタイプと考えるべきである.アスピリン喘息はNSAIDsによる突発的な重症発作や死亡リスクを負った存在であり,慎重な対応が必要である.
  • 田中 裕士, 田中 宣之
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3096-3102
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    職業性喘息の診断は疑って問診することから始まる.欧米では成人発症喘息の5~15%と言われているが本邦でのまとまった報告はない.職場での原因物質が高分子量の蛋白である場合はIgE依存性反応であるが,低分子量である化学物質である場合では必ずしもIgE依存性ではない.またこれらの感作期間のあるものとは別に,reactive airway dysfunction syndromeやirritant-induced asthmaがある.本稿ではきのこ栽培工場就労者にみられた検討をモデルとして,主に診断の複雑さについて述べる.
  • 谷本 安, 高橋 清
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3103-3113
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    重症難治性喘息は,ステロイド薬等でも制御しがたい強い気道炎症や,不十分・不適切な治療によりリモデリングを起こして治療に反応しにくい場合,合併症による修飾で喘息症状が管理しにくい場合等,複雑な病態の重複がある.近年吸入ステロイド薬(ICS)等の改善・普及により重度の難治性喘息は著減したが,各ガイドラインの定義によっては1%から10%程度を占める.その治療は,ICSの早期導入と十分量の使用,各種合併症への対策が大切であり,近年開発された抗IgE抗体療法の併用がかかる患者への福音として期待される.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 坂野 大介, 白木 伸明, 粂 昭苑
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3148-3153
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    1型糖尿病治療はインスリン注射が主な治療法であるが,継続的な注射を患者に強いるためにその負担は大きい.膵臓移植や膵島移植によってインスリン注射から高確率に離脱できるが,ドナー不足が移植治療の妨げとなっている.この問題の解決策のひとつとしてinduced pluripotent stem cells(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)から膵β細胞を誘導する手法の確立が望まれている.過去の研究では,in vitroで膵β細胞を誘導できることは立証されたが移植治療への利用には至っていない.その理由は主に3つある.1つめは分化効率が低く移植に必要な細胞数を得ることが難しいこと.2つめは生体内の膵β細胞と比較すると糖応答能などの機能が劣ること.そして,分化させた細胞を移植したときの安全性が確保されていないことである.本稿では過去の研究とこれらの問題点克服に向けた新たな研究について紹介する.
  • 木村 輝明, 足立 満
    2009 年 98 巻 12 号 p. 3154-3159
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    気管支喘息は気道の慢性炎症が主たる病態であることが明らかになり,それとともに吸入ステロイド薬を中心とする抗炎症治療が現在の治療の中心となっている.さらに,より効率的な抗炎症治療のため,炎症にかかわる分子を標的とした分子標的治療が開発され,臨床使用されたり,それに向けての研究がされている.とりわけ,最近認可された抗IgE抗体治療はこれまでと異なる作用機序から,吸入ステロイド薬などでコントロールできない難治性喘息に対する新たな治療策としての有効性が示されている.また,これまで明らかにされていない炎症の病態機序などの解明をはじめとした新たな知見がえられることも予想される.そして,アレルギー性炎症に関わる炎症細胞での細胞内シグナル伝達機構の解明から,それらのシグナル伝達分子を標的とした新たな治療薬の開発も進められており,難治性喘息の治療や,気管支喘息の治癒にむけての研究が今後さらに進歩することが期待される.
専門医部会
診療指針と活用の実際
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 問題
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シリーズ:一目瞭然! 目で見る症例
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シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 解答
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