日本内科学会雑誌
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III.治療
2.日本人における脂質介入のエビデンス
山下 静也
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2009 年 98 巻 2 号 p. 306-315

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抄録
欧米に比し冠動脈疾患の発症頻度が低い我が国でも,HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)投与の有効性のエビデンスが出てきている.特に,MEGAスタデイーでは食事療法単独よりも食事療法に加えてプラバスタチンを投与し,LDLコレステロール(LDL-C)を低下させた方が冠動脈イベントの発症を抑制させることが多数例で証明された.有名なJ-LIT研究でも約5万人規模の高コレステロール血症患者にシンバスタチンを投与し,投与中のLDL-Cレベルが高いと冠動脈イベントリスクが増加した.多価不飽和脂肪酸EPAをスタチンに追加投与したJELISではスタチン単独群に比し,LDL-C値とは無関係に冠動脈イベント抑制が認められた.このように欧米と同様に我が国でも脂質異常症治療の独自のエビデンスが得られてきており,脂質異常症治療の重要性が証明された.
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© 2009 一般社団法人 日本内科学会
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