ネフローゼ症候群の合併症には,その病態に関連したものと治療に伴うものがある.前者としては,浮腫,高脂血症,急性腎不全および凝固異常がある.後者では,免疫抑制薬の副作用が問題になる.ネフローゼ症候群の原疾患の治療が優先されるが,食事内容の変更や利尿薬による浮腫の軽減,高脂血症の持続による糸球体硬化の進行抑制のための薬物療法やアファレーシス療法が施行される.また,高度の蛋白尿に伴って急性腎不全を併発することもあり,一時的な透析療法を行う場合もある.さらに,凝固能亢進と線溶低下により血栓症の合併が多く,ヘパリンやワーファリンによる抗凝固療法が必要になる.一方,免疫抑制療法の合併症として,易感染性は重要な位置を占める.尿中喪失や産生低下による血清IgGの低下を認めることが多く,日和見感染対策が重要である.副腎皮質ステロイド薬を用いる場合は,骨粗鬆症対策が必要である.