抄録
軽度認知機能障害は,認知症には至らないが,記憶を中心とした何らかの認知機能障害を有する一群で,健常高齢者に比較して高率に認知症を発症するとされている.今後,認知症の根治療法が開発されてくれば,この時期での介入が重要となると予想される.軽度認知機能障害におけるAlzheimer型認知症への進展の予測には,機能画像が有用であることが知られ,本邦では単光子放射線コンピューター断層撮像(SPECT)及び神経心理学的テストの有用性を検討した他施設共同追跡調査,J-COSMICが進行中である.本稿では,J-COSMICの中間解析経過の一部を紹介するとともに,軽度認知機能障害を対象とした,その他の他施設共同追跡研究についても簡単に紹介する.