日本内科学会雑誌
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今月の症例
動物由来の回虫による内臓幼虫移行症が疑われた長期透析患者の1例
丸山 広高唐原 靖治出口 秀治渡辺 篤史山内 英治松下 芳雄松岡 潔稲葉 恵吉永 健有薗 健二
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2010 年 99 巻 11 号 p. 2835-2837

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抄録
症例は52歳,男性.乾性咳嗽,胸部異常陰影,透析低血圧にて発症し,入院時の胸部CTで両肺に多発する非区域性,末梢側優位の浸潤影と好酸球優位の白血球増加(18,100/μl:好酸球45%)を認めた.気管支肺胞洗浄液中の好酸球比率が86.4%と著増していたため好酸球性肺炎と診断.ステロイド治療で肺病変や自覚症状は改善した.好酸球性肺炎の原因として,血清寄生虫抗体検査(Microplate ELISA法)にて血清中のイヌ回虫抗原およびブタ回虫抗原に対する高抗体価を認めたため,イヌ回虫もしくはブタ回虫による内臓幼虫移行症が疑われた.C型肝炎合併例であることから抗寄生虫薬であるアルベンダゾールは使用せずにステロイド治療のみ継続したが,好酸球性肺炎の再燃は認めなかった.
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© 2010 一般社団法人 日本内科学会
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