2010 年 99 巻 8 号 p. 1815-1820
神経Sweet病は特徴ある有痛性隆起性紅斑を呈する良性・再発性の脳炎・髄膜炎である.類縁疾患である神経Behçet病がHLA-B51と強い相関を示すのに対し,神経Sweet病ではHLA-B54およびHLA-Cw1の頻度が際だって高い.その神経病変は皮膚病変と同様に壊死性血管炎の所見を欠き,ステロイドによく反応して改善するが再発することも少なくない.好中球の機能亢進が示唆される脳炎・髄膜炎では神経Behçet病と神経Sweet病の両疾患を包括する神経好中球病という大きな枠でとらえ,他の脳炎・髄膜炎との鑑別診断を十分に進めた上で,ステロイドを中心とした治療方針を立てることが重要である.