日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
後天性血友病XIII(13)(出血性後天性凝固第13因子欠乏症)とは?
一瀬 白帝
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2010 年 99 巻 8 号 p. 1934-1943

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抄録

凝固第XIII因子(F13)は,Aサブユニット(F13-A)二量体とBサブユニット(F13-B)二量体からなる異種四量体として血中を循環しており,トロンビンによって活性化されてフィブリンを架橋結合する.先天性F13欠損症は,出血,創傷治癒異常,反復性流産が3主徴であり,出生後の臍(帯)出血で初発することが多い.一方,大手術や各種の疾患でF13の過剰消費や産生障害による二次的F13欠乏症を生じるが,一般にF13低下は軽度で出血を伴うことは少ない.最近,後天性血友病13(出血性後天性F13欠乏症の意)症例の相談が増えており,2009年度にその実態と原因,診断と治療についての班研究が開始された.本疾患は,ルーチン検査で凝固時間の延長や血小板数の異常が認められないので,症例が見逃されている可能性が高い.診断には本疾患を想起することが大切で,F13活性測定が不可欠である.止血にはF13濃縮製剤を投与するが,約半数の症例には自己抗体が存在するので,免疫抑制療法が必要である.幸い2010年度も班研究の継続が認められているので,本疾患疑いの症例があればご相談頂きたい.

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© 2010 一般社団法人 日本内科学会
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