日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
フェノールズルフォンフタレイン尿中排泄曲線の研究
磯野 恒雄
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 48 巻 11 号 p. 1703-1711

詳細
抄録

PSP試験に関する理論的研究はきわめて少なく,成績判定は経驗的なものに支配されていて,このためあいまいな点も少なくない.より合理的な判断を行なうためには尿中排泄由線を理論的に解析し,これによつてPSP試驗を把握することが必要である.かかる理由から, PSP排泄曲線に解析を加え,排泄量Eと時間Tとの間にはE=T/a+bTなる実驗方程式が成立することを示した, bは総排泄量を表わす定数であり, aは体重当りのPSPクリアランスを示す定数で,したがつてRPFと高い相関を示し,腎機能を表わす新しい指標として最も適当なものであることを知つた. PSP投興量とaとの関係から排泄量が血漿濃度に比例することを示した. PSP尿中排泄曲線は適当な座標軸を選ぶことによつて直線化することが可能で,その直線性の乱れから膀胱遺残尿等は容易に発見指摘することが可能である.從来の時間値のうちでは15分ないし30分値が最も適当であることを理論的に裏づけた.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
次の記事
feedback
Top