日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
肝内組織肥滿細胞に関する研究
第1編ビールス性肝炎時における肝内組織肥滿細胞の検討
戸川 淳志
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 49 巻 6 号 p. 622-636

詳細
抄録

流行性肝炎時における肝内組織肥滿細胞の意義を明らかにする目的で,肝生檢によつてえた組織片につき,肝内組織肥滿細胞の消長を檢討したところ, 肝内組織肥滿細胞は健康人においてはほとんど存在しないか,あるいは出現してもわずかで形態変化を伴なうものはなかつたが,急性肝炎,慢性肝炎,肝炎後肝硬変症とすゝむにつれて階段状に出現数量は増加し,かつ形態変化も高度であつた.さらに慢性肝炎,肝炎後肝硬変症においては,再発再燃の囘数と密接な関係を有し,その囘数が増加するほど,肥滿細胞の変化は高度にみられた.このような肥滿細胞の変化と最も関連性を有する組織変化は,グリソン鞘の結合織の態度で,慢性肝炎,肝炎後肝硬変症においては,結合織の増殖とほゞ平行して増加し,かつ形態変化も高度に出現した。また,副腎皮質ホルモン使用は,その数量の減少傾向と高度の形態的変化を惹起し,このさい組織学的には炎症局所における浮腫の減退と,細胞浸潤の消失,および結合織線維の退縮像がみられた.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top