日本内科学会雑誌
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肺空洞の病態生理に関する研究
呼吸にもとづく空洞内圧および内音の変化について
児玉 充雄
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1961 年 50 巻 8 号 p. 827-841

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抄録

常時呼吸運動等の動態下にある生体内の空洞の実相を究明すべく,特殊装置を考案し,イヌの空洞を主な対象として,微圧をも含む空洞内圧曲線と同内音図とを描記し,とくに呼吸運動との関係を実験的に種々検索した.空洞内圧は呼気相・吸気相にわたつて刻々変動し,呼吸性内圧差を呈し,これらは空洞自体・同周囲病巣並びに誘導気管支等と密接な関連性を有し,その実態を分析しえた.さらに実測の内圧曲線から理論的に呼吸に伴なう刻々の空洞変形を考察し,これをヒトの空洞でも実証した.また,吸気時空洞内圧は上昇し,容積を減じ,空洞ガスが呼出される等の諸事実をも知り,モデル実験でも肯定しえた.また著者の装置では同時に50~500c/sの周波数を有する空洞内音が録音され,これには一呼吸ごとに反復する持続音と断続音の2種類があり,本内音と内圧その他の空洞諸性状との関係を明らかにし,かつ誘導気管支の器質的機能的性状をも推定しえた.

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