日本内科学会雑誌
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下肢に神経鞘芽細胞腫(neurilemmoblastoma)た来たしたvon Recklinghausen病の1例
川井 信義後藤 平
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1962 年 51 巻 2 号 p. 135-142

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抄録

症例は28才の男.主症状は,(1)右大腿部の有痛性腫瘍(小児頭大で局所熱・圧痛・波動あり),(2)全身の皮膚腫瘍(手掌足底を除き,全身殊に躯幹に小豆大より鶏卵大までの多発性軟性腫瘍),(3)色素斑(全身表皮に散在する粟粒大の淡褐色色素斑点及びCafé-lait斑),(4)X線像で頭蓋骨骨欠損像を認む.生来全身に皮膚腫瘍および色素斑あり,思春期より増惡.大腿部腫瘍は27才の年末より次第に増大,該部の大腿骨には異常なし.腫瘍を剔出したが再発し死亡した.腫瘍は神経鞘芽細胞腫(Antoni-B型).本邦では本症の惡性化は男のそれよりも若く起こる.部位的には下肢の深部の神経腫の惡性化することが最も多い.遺伝性および惡性化の頻度については報告者により一致しないが,最近2年間の本邦例についてみれば4.7%.転移は22%,ほとんど血行性,大部分は肺への転移.従来の報告では惡性変化の種類は大部分線維肉腫であるが,本邦例の統計では悪性神経鞘腫が最も多い.

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