日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
ビタミンB1ショックの1例
川崎 武浅野 武彦牧田 茂雄吉田 忠正柿沼 光明
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 51 巻 3 号 p. 246-252

詳細
抄録

56才の男.食餌性蕁麻疹を二,三度経験した以外にアレルギー疾患の既往なく,家族にもアレルギー疾患はない.ビタミンB110mgの静注後1分以内に急激な血圧降下,冠不全,全身の発赤,顔面蕁麻疹様膨疹をきたし失神した.ノルアドレナリン,プレドニソロンの静注および酸素吸入が奏効し,ショック状態より回復した.ビタミンB1に対する皮内反応強陽性, Prausnitz-Küstner試験陰性,白血球融解現象陽性, ACTHテスト正常であつた,ビタミンB1を用いて減感作に成功にした.減感作後に皮内反応は陰性化した.更にビタミンB1,アリナミン,コカルボキシラーゼ,ピリミジン誘導体4種,サルゾールSおよびチアゾールイエローに対する皮内反応を試み,ビリミジン核を有する薬剤に共通して皮内反応が陽性となることから,本症例においてビタミンB1の抗原としての決定群はピリミジン核残基であろうと推論した.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事
feedback
Top