日本内科学会雑誌
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51 巻 , 3 号
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  • 蒲地 大八
    1962 年 51 巻 3 号 p. 193-200
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年結合織化学の進展とともに線維蛋白,ことにcollagenの代謝と線維間質のmucopolysaccharideとの関連が次第に解明され,線維形成にさいし.まずmucopolysaccharideが生成され,これをmatrixとしてcollagenが形成されていくことが明らかになつてきた.著者は黄変米カビ傷害マウス肝における肝線維化過程を生化学的に検討するため,傷害肝におけるglutamine g-6-p transamidase, hexsamine,及びhydroxyprolineを経時的に測定し,肝線維化にざいしてまずmucopolysaccharideの生合成が促進され,これを基盤として膠原綿維増生の過程を示す成績を得た.また肝線維化の過程に対する副腎皮質ホルモンの効果を観察するため,上記障害マウスに経口的にプレドニソロンの投与した,その結果は障害初期,特にhexosamine合成酵素活性が上昇する時期において最も著明な線維化抑制効果を示した。このことからプレドニソロンの作用機序の一つとしてhexosamine合成段階の抑制作用が推測される。
  • 西本 幸男, 佐藤 哲也, 原田 信徳, 野島 逹也
    1962 年 51 巻 3 号 p. 201-210
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性肺気腫は,少なくとも肺の過膨張と気道の閉塞性換気障害の2条件を有すべきであるという観点から症例に肺機能検査を実施し,肺気腫研究会の試案によって狭義すなわち巌密な意味での肺気腫と広義の肺気腫とに分けた.ついで胸部X線検査より従来肺気腫の際出現するといわれている骨性胸廓の変化・肺の変化・横隔膜の変化・心臓の変化等と上述の肺気腫の分類との関係を検討したところ,所見のあるものはこれとよく平行した関係が認められたが,個々の所見では肺気腫と断定し得るほど特徴的なものはみられなかつた.そこで呼吸困難の分類及び胸部X線所見のうち,心後腔開大・気腫性嚢胞・横隔膜低位・滴状心の5項目を組合わせて判断すると,ある程度の確実さを以て肺気腫を診断し得ることが判明した.このような方法を用いると,肺機能検査の実施が不可能な症例における慢性肺気腫の診断の機会を増加せしめ得るのではないかと考えている.
  • 中尾 善久, 和田 武久, 神山 照秋, 中尾 真
    1962 年 51 巻 3 号 p. 211-219
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    現在血液の保存には, acid citrate-dextrose液(ACD液)が一般に用いられているが,この有効期間は3週間とされ,この期間を過ぎると輸血後の赤血球のviabilityは70%に低下する.著者らの一人,中尾(真)は,この保存期間を延長することについて, ACD液にinosine, adenineを同時に添加する方法を考案した.本文ではこの新しい保存液(ACDIA液)で血液を長期保存し,その輸血後の赤血球のviabilityを検討すると共に,健康成人,職業的供血者の長期保存血についても比較検討した.測定にはCr51法を用いた. 8週間保存血の自己溶血量は全例共少量であつたが,特に健康成人のACDIA液保存血に少なく, 0.75%に過ぎなかつた. 8適間保存血の輸血後のviabilityは,健康成人のACDIA液で80%を示し,これはACD液のみで3週間保存した時のviabilityよりすぐれていた. ACD液のみの健康成人8週間保存血では20.4%に過ぎなかつた.一方職業的供血者血では, ACDIA液で同様保存しても,その輸血後のviabilityは16.4%に過ぎず, ACD液のみではこれ以上に少なかつた.又ACDIA液にて8週間保存した健康成人赤血球の経時的な流血中の減少率は,正常新鮮血と同様な減衰を示すが,職業的供血者保存赤血球では,その減少はより急激であつた.健康成人と職業全供血者の保存赤血球のこの様な輸血後viabilityの差は,後者においてたとえ貧血はなくとも,幼若な赤血球が多く保存されるためであろうと考えられるが,この想定を本文では,家兎網赤血球を用いて解明した.
  • 網岡 忠, 武田 和久, 氏平 一郎, 滝谷 泰博
    1962 年 51 巻 3 号 p. 220-226
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ビールス性肝炎,肝硬変患者の多数例につき,血清トランスアミナーゼ活性値(GOT, GPT)を長期に亘つて観察し,得られた変動型を臨床経過,肝組織像と比較検討した.その結果変動型を分け,変動を示さないもの,一峰性の上昇を示すもの,及び変動を繰返すものの3型に分類し,それぞれの型を活性値が正常に復するか否かによつて更に二分し得ることを確認した.急性肝炎例ではほとんどが一峰性の上昇を示すに止まったが,輪血後肝炎例においては再上昇を来たし,変動を繰返す例が比較的多く見られた.慢性肝炎例では,肝組織所見において肝実質細胞の変化を主とするもの及びグ鞘瘢痕のみを認める例は変動を示すものは極く僅かであつた.グ鞘の炎症を主とする慢性肝炎例には変動を示す例が多く,中でも新旧のグ鞘炎を合併した例はその変動を繰返す傾向が見られた.前硬変においては更に変動を繰返す例が多くなつたが,肝硬変ではむしろ変動を示す例が減少した.肝硬変で変動を示す例は活動性の肝組織所見を呈した.なお,治療剤としての副腎皮質ホルモン製剤のこれら変動型に対する影響を検討した結果,慢性肝炎,肝硬変の半数例においてステロイドホルモン使用後活性値の上昇が見られ,これらの上昇は,慢性肝炎では高度のグ鞘炎を示す例に,肝硬変では活動性炎症像が強い例に見られた.
  • 網岡 忠, 武田 和久, 氏平 一郎, 滝谷 泰博
    1962 年 51 巻 3 号 p. 227-236
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ビールス性肝炎,肝硬変患者の副腎皮質ホルモン使用例について,血清トランスアミナーゼ活性値(GOT, GPT)を長期に亘つて測定観察した結果,副腎皮質ホルモン使用時には,急性肝炎及び慢性肝炎グ鞘炎型ではその半数以上に,血清トランスアミナーゼ活性値の有意の低下が見られたが,これらの症例では使用後早期に再上昇を来たす傾向が見られた.この再上昇を示す割合はグ鞘炎型の慢性肝炎に多く,次いで前硬変,肝硬変の順で急性例には少なかつた.肝硬変症では,血清トランスアミナーゼ活性値及び再上昇する時期も他の例に比してやゝ遅れたが,再上昇を来たした場合,病巣の再燃としての臨床症状,肝組織の変化を伴なう割合は他の例よりもむしろ多かつた.副腎皮質ホルモン使用後のこのような血清トランスアミナーゼ活性値の再上昇は,ステロイドホルモンの蛋白異化作用の直接の影響によると考えられず,病巣の再燃によると考えるのが妥当であつた.この再上昇はステロイドホルモンの消炎効果が顕著であつた例に多く見られたが,そのような症例のその後の肝組織像での惡化は著明でなく,むしろ改善が多く見られた.血清トランスアミナーゼ活性値が,ステロイドホルモン使用後も変動を繰返す症例では,ステーロイドの消炎効果は一時的であり,肝組織の炎症像も使用前に復する傾向を示すものが多かつた.
  • 中尾 喜久, 前川 正, 土屋 純, 大和 建昭, 伊藤 琢夫, 青木 国幸, 堀内 宏
    1962 年 51 巻 3 号 p. 237-245
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    24才,女子.外来初診時臨床的には溶血症候群が明らかでなく,血清鉄低下,不飽和鉄結合能の上昇,赤血球遊離プロトポルフィリンの増加等が認められ,青年女子に多い鉄欠乏性貧血と誤診し,精査の結果発作性夜間血色素尿症と診断し得た症例を報告した。本例においては,溶血発作は感染症併発時および月経前後に発現する傾向があり,溶血発作のみでなく緩解期にも大量の鉄が尿中に排泄されることを知り,本症の診断に当り鉄欠乏性貧血との鑑別に留意すべき点を強調した.また腎生検により尿細管上皮殊に近位尿細管上皮に著しい鉄沈着を認めた.患者および正常人との間のCr51標識赤血球の交換輸血の成績より,本症の主病変が血球にあることを確認した.zymosan処理によりpraperdinを除去した血清よりなるHam溶血系では患者血球の溶血は認めず,これにthrombinを添加すると輕度の溶血を認め, zymosan処理thrombinの添加では溶血は発現しなかつた.これらの成績より本症赤血球の溶血機転を考察した.
  • 川崎 武, 浅野 武彦, 牧田 茂雄, 吉田 忠正, 柿沼 光明
    1962 年 51 巻 3 号 p. 246-252
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    56才の男.食餌性蕁麻疹を二,三度経験した以外にアレルギー疾患の既往なく,家族にもアレルギー疾患はない.ビタミンB110mgの静注後1分以内に急激な血圧降下,冠不全,全身の発赤,顔面蕁麻疹様膨疹をきたし失神した.ノルアドレナリン,プレドニソロンの静注および酸素吸入が奏効し,ショック状態より回復した.ビタミンB1に対する皮内反応強陽性, Prausnitz-Küstner試験陰性,白血球融解現象陽性, ACTHテスト正常であつた,ビタミンB1を用いて減感作に成功にした.減感作後に皮内反応は陰性化した.更にビタミンB1,アリナミン,コカルボキシラーゼ,ピリミジン誘導体4種,サルゾールSおよびチアゾールイエローに対する皮内反応を試み,ビリミジン核を有する薬剤に共通して皮内反応が陽性となることから,本症例においてビタミンB1の抗原としての決定群はピリミジン核残基であろうと推論した.
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