日本内科学会雑誌
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慢性肝炎の臨床的並びに病理組織学的研究
町井 彰
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1962 年 51 巻 5 号 p. 591-601

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抄録

慢性肝炎の病態を解明せんとする目的で,肝生検による組織所見を中心にして,臨床所見並びに肝機能検査などを検討した,慢性肝炎には急性肝炎由来のもので,組織学的に間質の炎症が強く,結合織が幅広く発逹し,実質に退行変性を認める肝炎後性慢性肝炎と,急性肝炎の既往のない,組織学的に実質細胞の再生像が著しく,間質の炎症反応が軽微であり,結合織が細く伸長して行く,変性を主体とした原発性慢性肝炎とが存在する。この2型は肝機能検査上,肝炎後性のものはGOT, GPT,血清膠質反応などが原発性のものよりも陽性度が高い。慢性肝炎の活動性は組織所見にかいて門脈域の肉芽腫様細胞浸潤,小葉周辺部の活動性細胞浸潤により持続進行するものと考えられ,これらは肝機能検査上GOT, GPTに反映する。以上の結果を得,肝炎の慢性化,硬変化についても考察した。

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