日本内科学会雑誌
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Wuhrmann心筋症とHegglin症候群の相関如何および,その診断的意義
稲垣 義明寺尾 清
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1964 年 52 巻 10 号 p. 1157-1168

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抄録

Wuhrmannのいう心筋症と, Hegg1inのいうエネルギー性力学的心不全(“Energetisch-Dynamische Herzinsuffizinz”, EDHI)の重なり合いを,生前における臨床成績のみならず,剖検しえた心筋の病理像からも検討した。このさい, Hegg1in症候群の診断基準には, Hegglinの原著,その後の発表によつても,具体性にとぽしく,かつ,一貫性がみられなかったので,われわれは心・脈管力学的数値を中心に検討し,広義のHegglin症候群と狭義のHegglin症候群(文字どおりのEDHI)とを区別して考えるべきことを提唱し,かつ,その診断基準の目安を述べた.病理的観察では,左右心室筋9ヵ所における単位面積あたりの類粘液変性数の多寡を主な検索の対象とした. 1. Wuhrmann心筋症の1/3には, EDHIをみたが,一方, EDHIと診断された症例の大部分は心筋症とも診断しえた. 2. 心筋症と診断された例の類粘液変性数は,平均を上回る例が多かつた.これにたいして, EDHIでは,平均以上の例が少なく,大部分の例の間質には,血管外膜の層状粗鬆化と急性の浮腫像が認められた.

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