日本内科学会雑誌
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アンジオテンシン-スキンテスト
国府 達郎藤本 四郎山村 雄一
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1964 年 52 巻 12 号 p. 1467-1472

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抄録

Renin-angiotensin系は腎性高1血圧の昇圧機構を説明しようとする一つの興味ある所見である.本態性および腎性高血圧者,特にその急性期では,血中のangiotensin量が増加し,末梢血管のangiotensinに対する反応性が増強しているといわれている.著者らは高血圧の成因が異なるに従い,生体のangiotensinに対する反応が異なるのではないかとの想定の下に,α-1 asp-5 val-angiotensin IIおよびβ-1 asp-5val-angiotensin IIを用い,正常者並びに高血圧者に皮内反応を行なつた.本態性および腎性高血圧患者では,正常血圧者に比し本反応の持続時間の延長を認め,それに反し大動脈硬化に由来すると思われる心・血管性高血圧では延長しないことを認めた.また正常血圧者で高血圧の遺伝的素因を有するものは本反応の延長することを認めた.高血圧老の大部分を本態性高血圧症として診断治療している現在,本反応の機序について探求することは高血圧の成因を究明しうる一手段である.

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