日本内科学会雑誌
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52 巻 , 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 馬場 道夫
    1964 年 52 巻 12 号 p. 1445-1466
    発行日: 1964/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    正常家兎に放射性鉄を経口投与し,鉄の吸収と吸収された鉄の生体における動態を追究した.経口的に投与された放射性鉄は3時間後および40時間後にピークをもつ二峰性の曲線を描いて血清中に出現し,投与鉄の腸管内通過状態と腸管壁における鉄の分布並びに動態を明らかにした結果,家兎の大腸から上部腸管に劣らず多量の鉄が吸収されることを確認した.さらに腸管内pHと鉄の荷電の関係を検討し,従来否定的であった下部腸管からの鉄吸収の可能性を推定した.一方,吸収された鉄の消化器粘膜非ヘミン鉄における動態を追究し,ヘモジデリンや易動鉄を介する鉄の吸収が主役を演ずることを明らかにするとともに, mucosal blockや鉄の吸収機構についても言及した.さらに吸収された鉄の血清,肝,脾,骨髄,腎などの主な鉄貯蔵臓器非ヘミン鉄における動態と造血臓器における動態をそれぞれ明らかにし,生体内鉄代謝の一端を解明した.
  • 国府 達郎, 藤本 四郎, 山村 雄一
    1964 年 52 巻 12 号 p. 1467-1472
    発行日: 1964/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Renin-angiotensin系は腎性高1血圧の昇圧機構を説明しようとする一つの興味ある所見である.本態性および腎性高血圧者,特にその急性期では,血中のangiotensin量が増加し,末梢血管のangiotensinに対する反応性が増強しているといわれている.著者らは高血圧の成因が異なるに従い,生体のangiotensinに対する反応が異なるのではないかとの想定の下に,α-1 asp-5 val-angiotensin IIおよびβ-1 asp-5val-angiotensin IIを用い,正常者並びに高血圧者に皮内反応を行なつた.本態性および腎性高血圧患者では,正常血圧者に比し本反応の持続時間の延長を認め,それに反し大動脈硬化に由来すると思われる心・血管性高血圧では延長しないことを認めた.また正常血圧者で高血圧の遺伝的素因を有するものは本反応の延長することを認めた.高血圧老の大部分を本態性高血圧症として診断治療している現在,本反応の機序について探求することは高血圧の成因を究明しうる一手段である.
  • 若林 明
    1964 年 52 巻 12 号 p. 1473-1494
    発行日: 1964/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ポーラログラフ蛋白活性による癌判定は他の癌反応よりも陽性率が高く,臨床的に癌反応として用いられている.これを各種疾患に行ない,検討した結果,二,三の疾患の鑑別,並びに診断に役立つことを知ったが,反面において,炎症性疾患などでも陽性を示すものが相当あり,これが本反応の欠点にもなっている.そこで高活性を示す炎症性疾患,悪性腫瘍に治療(手術,放射線治療,制癌剤,抗生剤投与)を行ない,経時的に観察することにより,両疾患の活性変動態度の異なることを見出し,これを応用し両疾患の鑑別を行なうに良き結果をえた.また,これと共に,両疾患の治療効果判定,予後推測にも,経時的に本反応を行なうことが良い指針を与えることを知つに.
  • 福田 良平, 大本 勤, 田宮 幸一, 島倉 洋, 木島 鴻一, 佐藤 忠男, 松本 義孝
    1964 年 52 巻 12 号 p. 1495-1501
    発行日: 1964/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1958年ZieveはMinneapolis Veterans Hospitalにおいて, 8年間に慢性アルコール中毒患者で肝生検にてアルコール性脂肪肝を証明した症例に, 1)黄疸, 2)脂血症, 3)溶血性貧血の共通な3症状を有する20例を観察し, jaundice-hyperlipemia-hemolytic anemia syndromeと報告している.本邦では1962年内藤らが2例を報告し,アルコール性脂肪肝の診断上,本症候群に対する注意を喚起している.われわれは慢性アルコール中毒患者に,浮腫,黄疸,肉眼的脂血症,過コレステロール血,貧血を認め,肝生検にて高度の脂肪肝を見出した.また治療により脂肪肝が改善されて行く過程を肝生検で観察しえた.その臨床経過より本症候群以外では説明しえず,若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 勝 正孝, 長田 信, 藤森 一平, 山東 正和, 秋元 浩, 西山 保一
    1964 年 52 巻 12 号 p. 1502-1506
    発行日: 1964/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    妊娠8カ月の家婦に生じた肝腫か1カ月半で右下肋下8横指に達する腫瘤となつたので,これを穿刺したところ,粘液血性の穿刺液2lを排除し,下肋下で約1/2に縮小せしめ得た。穿刺の翌日,自然に分娩が起こつて,その新生児は順調に成長している.その後腫瘍は再び増大しつづけ,臍下3横指に達したが,黄疸は殆どなく,肝機能もほぼ正常に保たれ,アルカリフォスファターゼのみ14単位→18.2単位と上昇した.開腹して摘出を計つたが癒着甚しく切除不能であつた.剖検の結果,肝腫は右肺を上方に強く圧迫して第2肋骨の高さに達していた.腫瘍は右葉全域を占め,多房性で,ゼラチン様の物質と出血がところどころにみられ,正常と思われるのは左葉のみであつた.組織学的には血管内皮肉腫と考えられる.転移は認められなかつた.本例は腫瘍そのものが稀であるばかりでなく,その臨床経過も極めて多彩であつて,ほとんど類例がない.
  • 佐々 茂, 板倉 弘重, 榎本 昭, 千葉 省三, 古川 哲雄, 吉野 佳一, 衣笠 恵士, 柴田 整一
    1964 年 52 巻 12 号 p. 1507-1513
    発行日: 1964/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    20才,女.約3年半前より,筋痛・関節の腫脹・疼痛をもつて発症し,著明な白血球増多および好酸球増多を発見された.四肢・顔面の反復性浮腫,蕁麻疹,紅斑,出没する皮下結節,腹痛,嘔吐等多彩な症状を呈し,発症2年半後に,白血球80500,好酸球88%となり,当科へ入院した.末梢血・骨髄ともに好酸球系の著しい増加がみられたが,他には特に異常を認めなかつた.末梢血の好酸球は,ほとんど成熟型のみである点が特異であつた.皮下結節の生検により,皮下脂肪組織に集団的な好酸球浸潤を認め,また,経過中喀痰にも好酸球がみられるようになつた.ステロイドにより自覚症状は消失し,白血球・好酸球数ともに正常化した.播種性好酸性膠原病(la collagénose disséminée éosinophilique)の1例と考えられたのでこゝに報告し,あわせて本症を紹介した.
  • 沢山 俊民, 宮尾 憲爾, 平林 正巳
    1964 年 52 巻 12 号 p. 1514-1520
    発行日: 1964/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    65才の女で,頭痛と左半身の異常感を訴えて入院,右上肢および両下肢におけろ脈拍の減弱ないし消失があり,左上肢は高血圧,右上肢および両下肢は低血圧を示した.聽診上,左右の頚動脈領域をはじめ大動脈に沿つて殿部まで広範囲に血管狭窄雜音を聽取した.胸部X線写真では,大動脈弓および下行大動脈起始部に著明な拡張像を,下行大動脈には広範囲な石灰化と狭窄像がうかゞわれ,さらに大動脈造影によりこれが確認された.臨床検査上,血清コレステロールは軽度高値を示したが,他に動脈硬化を思わせる病変なく,一方,赤沈の軽度促進,および血清膠質反応の上昇をみたので,病因としては,非特異姓の炎症を考え, prednisoloneを投与した.その結果,有意に異常所見の改善をみたが,同薬を中止すると旧値に復する傾向がみられた.従来の報告では,本疾患は若年者ないし中年者に限られていたが,本症例は65才という老年者にみられた1例である.
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