日本内科学会雑誌
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Rickettsiaの免疫学的研究Sodium DesoxycholateによるR. orientalis補体結合抗原の精製
橘 宣祥
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1963 年 52 巻 4 号 p. 302-311

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抄録

Rickettsiaの免疫学的研究の一環として,とくにR. orientalisの補体結合反応の抗原の精製を試みた.すなわちR. orientalisのGilliam株と大関株との感染卵黄嚢を材料として,まず, Amberlite XE-64,次いでsodium desoxycholate (DCA)で処理することによつて,抗補体作用の全くない安定な抗原を得ることができたので,抗原の精製条件とその性状について検討を加えた.精製過程のうちresinで処理し終るまでの溶媒としては燐酸緩衝蔗糖液が, DCAの溶媒としては0.25M蔗糖液が適当であり,蔗糖液中のDCAの至適濃度は1.0%であつた. DCAによる処理では抗原価はほとんど低下せず,抗補体作用は完全に除去されており,その窒素含量は対照の1/9以下に減少した.-70°Cに18日間保存後,抗原価は1/2程度に低下した.また抗血清として用いたR. orientalis染マウス血清の補体結合抗体価は1024倍に達した.

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