日本内科学会雑誌
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異常TSHの起源に関連し興味あるBasedow病剖検例
熊原 雄一宮井 潔阪上 明福地 稔桝井 秀雄岩坪 治雄
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1964 年 53 巻 1 号 p. 66-70

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抄録

Basedow病患者血中に正常TSHに比し長時間作用の持続する甲状腺刺激物質のあることが見出され, long-acting thyroid stimulator (LATS)と呼ばれ, Basedow病病因との関連性が注目されて来たが,その起源については不明であった.最近われわれはBasedow病剖検例を経験し,その下垂体抽出液にTSH bioassayで時間反応曲線は正常TSH型を示すにかゝわらず,抗TSHは血清により中和されない,換言すれば正常TSHと免疫学的に異なる異常TSHともいうべき物質の存在を証明した.なお本患者血中にはTSH bioassayにより活性を認めなかったので, この下垂体異常TSHとLATSあるいはshort-acting thyroid stimulatorとの関係は明らかでないが,これは今後検討さるべき問題である.

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