日本内科学会雑誌
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人類の急性白血病に於ける核学的研究
粟野亥 佐武津田 福視伊藤 倉雄安部 淑子国分 一彦児王 良三亘理 比呂志
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1965 年 53 巻 12 号 p. 1519-1532

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抄録

最近染色体の分析にかんする実験方法の進歩に伴ない,人類の悪性腫瘍に就いても染色体の数や構成に関する知見が多数報告されている.しかし乍らこれらの知見が悪性腫瘍の原因と本質的に結び付くものか,或いは悪性化の結果として二次的に起こつた変化であるのかなお不明である.本研究は6例の人間の急性骨髄性白血病に就いて核型分析を行ないその所見を比較検討し,これらの重要な問題について考察を加えた.その結果を要約すれば人間の急性白血病では多くの場合,染色体の数や形態或いは構成において正常と異なる種族細胞が存在する.しかしその核型の異常は急性白血病の個々の例で必ずしも一定していない処から,急性白血病に於ける核型の変化は白血病の発生に伴なつて起こる二次的の変化と解した方が妥当かも知れない.しかし急性白血病細胞は多くの場合高数体(2倍域)であり又しばしばC. trisomieの見られた事が注目される.

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