日本内科学会雑誌
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慢性心房性頻拍症の1例
橋場 邦武中島 俊幸満岡 剛太郎玄洞 靖正小野 彰夫倉恒 宏正高橋 恵美
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1965 年 54 巻 6 号 p. 653-659

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抄録

少なくとも約5年間にわたり持続している慢性心房性頻拍症の36才男子例について報告した.心電図上第I誘導のP波は陰性,心房拍動数は1分間120~150のことが多く比較的緩徐であり,かつ,多くの場合にWenckebach周期あるいは2: 1の房室ブロックを伴なった. PP間隔,および房室間伝導は自然にも変動する他に,情動,体動,体位変換などにより容易に変化し,その範囲は1分間約190の1: 1房室伝導にまで及び,他方, Aschner試験によりPP間隔は1秒以上にまで延長した. digitalis薬, procaineamide,迷走神経反射などにより,異所性調律の消失はきたさなかつた.本頻拍は発作性頻拍症とは種々の点で著しく異なるまれな頻拍症であり,この点につき文献的考察を行なつた.

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