日本内科学会雑誌
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眼窩腫瘍を初発症状としたいわゆる転移性甲状腺腫の1例
吉住 孝之木村 一雄
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1967 年 56 巻 2 号 p. 160-164

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抄録

甲状腺腫を病理組織学的に精査しても悪性像が認め難く,まれには甲状腺腫を臨床的に全く認めないにも拘らず,遠隔部に主として骨に甲状腺組織の転移を認める症例がある.かゝる症例は1876年Cohnheimが発表して以来いわゆる転移性甲状腺腫として報告され,比較的まれなる症例とされている.本症例は63才,男子で原発甲状腺には臨床的に甲状腺腫・結節を認めず病理組織学的精査においても悪性像は認めないにも拘らず,頭蓋骨左眼底部腫瘍を初発症状として来院し,これが甲状腺組織の転移によるものであり,また他の遠隔部である肋骨・上腕骨・胸・腰椎,大腿骨の骨系統にのみ転移を来たした分化した濾胞性甲状腺癌の1例である.

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