日本内科学会雑誌
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生前診断しえた原発性アミロイドージスの1剖検例
藤原 京太竹下 菊雄
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1968 年 57 巻 5 号 p. 544-549

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抄録

53才の家婦で,生前にアミロイドージスの診断をえ,死後剖検により原発性全身性アミロイドージスを確認した症例について報告する.症例は約1年半前から全身倦怠感,心悸亢進,下肢浮腫があり,ネフローゼ症候群として治療を受けていたが,次第に浮腫が増強し全身に及び,さらに食欲不振,悪心,嘔吐等の消化器症状をも認めるようになり入院.入院時顔面蒼白,全身浮腫状,心濁音界両側に拡大し,心尖部で収縮期雑音を聴取.血圧110~70mmHg.検査成績では,赤沈の亢進,貧血,蛋白尿および腎機能障害,軽度の肝機能障害,低蛋白血症を認め,臨床像とあわせ,ネブローゼ様所見を示すが,γ-グロブリンが異常に高く,胸部X線像で心陰影の拡大,心電図で低電位差およびT逆転が認められる.これらのことにより,アミロイドージスを疑い腎生検を実施し,著明なアミロイドの沈着を認め,その確診をえた.症例は,その後約10ヵ月の経過にて尿毒症の状態で死亡.剖検により,腎・脾・肝・心・膵・消化管およびリンパ節等全身性の原発性アミロイドージスを確認した.

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