日本内科学会雑誌
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Heavy-Chain (Fc fragment)病の1症例
本邦第1例目の症例について
辻 孝夫太田 康幸小林 敏成檀上 博岡 莞爾水野 保夫佐藤 公身井沢 徹一三亀 宏小坂 淳夫今井 正信宮本 千鶴子広畑 衛
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1969 年 58 巻 11 号 p. 1202-1209

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抄録

近年,免疫化学の著しい発達にともなつて抗体を含めた免疫グロブリンの基本構造やsubclassが明らかになりつつある.このような過程で1964年にFranklin, Osserman,高月らによつて報告されたγGのFc fragmentに似たM-componentをmono-clonalにみとめるheavy-chain病は,別のBJ型骨髄腫とともに蛋白合成解明の研究資料として,また種々の免疫学的活性部分がγGではFc fragmentにあること,さらにはこの疾患の臨床像および病理組織像が多彩であり,病因論的にも感染から腫瘍にいたる途上の疾患であるだろう等ときわめて興味をもたれながら,まれな疾患と考えられていた.現在,すでに著者らの報告した本邦第1例目の症例と時を同じくして,第7例目,第8例目が追加され合計9例の症例がある.今回は,この先きに報告した症例(37才,女性,農業)をさらに詳細に,その臨床所見および免疫化学所見の面から報告し,第9例目の症例として記載した.なおこの第9例目の症例は現在生存している.

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