日本内科学会雑誌
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亜硫酸ガス(SO2)の気管支喘息患者に対する影響およびその作用機序の検討
中沢 浩亮
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1969 年 58 巻 8 号 p. 719-730

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抄録

気管支喘息患者が亜硫酸ガス(SO2)に対して敏感に反応するであろうことは今までに推測されていたが,これを確かめた研究は少ない.またSO2の気道に対する作用機序は, Nadelらが健康人や麻酔下のネコについて研究しているが,喘息患者についてはまだ報告がない.著者は30人の気管支喘息患者および11人の健康人にSO2を吸入させ,各種肺機能,とくに気道抵抗を中心にしてその変化を調べ,さらにその中9人の喘息患者に対して硫酸アトロピンによるブロックテストを施行し, SO2の気管支喘息患者の気道に対する作用のしかたを解明せんとした.喘息患者は健康人にくらべ,より低濃度のSO2で,より早い時間内に,その肺機能に変化を示し,高い感受性があることを示した.またブロックテストでは,硫酸アトロピンによりブロックされない例も多く,喘息においては健康人の気道に対する反応とは異なつた機序による反応性,気道障害の可能性があることが示唆された.

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